上田は四方を山に囲まれた典型的な盆地のまちです。その中でも、塩田平に聳(そび)える独鈷山(とっこさん)は、姿の美しさや数々の伝説に彩られ、知る人ぞ知る人気スポットのひとつです。この山の麓には、未完なるがゆえに美しい三重塔(重要文化財)がある前山寺はじめ多くの由緒あるお寺や古い形式を今に伝え、厳(おごそ)かな気持ちにさせてくれる塩野神社などの格式高い神社などが沢山あります。こうした、神社仏閣は、鎌倉・室町時代に創建されたといわれる歴史的遺産であると同時に、いまでも地域の人たちの毎日の平安を鎮護する重要な役目を担い、大切にお守りされています。それぞれに、四季折々の行事があり、桜や新緑、紅葉、雪景色と季節ごとに違った表情を見せてくれるのも楽しみのひとつです。たまには、ゆっくり散策してみると意外な発見もあります。里山歩きが静かなブームになっていますが、こうした歴史と伝統、そして多くの民話が残る地域を歩いてみるのも癒(いや)し効果抜群です。
この地域には、「お大師さん」として親しまれている弘法大師空海の伝説が沢山伝
えられています。その最も有名な話が、独鈷山の話です。中国から修行が終わって帰国した弘法大師が、どこかに仏教の教を広める道場を造ろうと日本中探していたとき、塩田平を訪れ、独鈷山がとても気に入りました。「ここに根本道場を建てよう」
と決めた弘法大師は早速山に入って調査を始めました。そんなとき、決定的な問題が発覚したのです。なんと、山の峰が99しかなく、「百にひとつ足りないので道場をつくるにはふさわしくない」と弘法大師は、涙を飲んであきらめなければなりませんでした。このあと弘法大師は諸国を巡り、紀州和歌山の高野山に道場をつくり今に至っています。高野山の教を全国に伝え歩く高野聖が、上田から何人も出ているのでこんな話が生まれたとも言われています。上田って、宗教の世界でも意外とメジャーなんですね。 |
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